腕時計をとりまく状況
日本の腕時計の凋落
1980年代に突入すると、それまで隆盛を誇っていたクォーツ腕時計の勢いに翳りが見え始め、再び機械式腕時計を見直そうという機運が世間に広がり始めるのです。
世界の経済が熟成するに従い、腕時計もコストパフォーマンスや性能だけを追い求めるのではなく、職人のこだわりや手作りの温かみなどが評価されるようになり、芸術品や工芸品として腕時計を捉える傾向になってきたのです。
そして現在では高価で美しい機械式腕時計と、値段の安さと性能だけを追求したクォーツ腕時計という棲み分けがなされるようになったのです。
かつて日本の腕時計はセイコーのクォーツ式腕時計とカシオの液晶デジタル方式といった2本の武器で世界中の腕時計産業を席捲してきたのですが、人件費などを安くすることを優先するために自国での生産を諦め東南アジアなどに生産を移行してしまった結果、国内での時計作りは廃れてしまい、産業の空洞化を招いてしまったのです。
こうしたことにより1970年頃には世界中で大旋風を巻き起こしていた日本製の腕時計は、1990年代に入ると高級感ではヨーロッパの腕時計に敗北し、値段では東南アジアなどで生産された腕時計に敗北し、世界的な競争力を失ってしまうのです。